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FVK

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先週末、岡山市北区平和町二の四、Fast Very Kefへ往って来ました。いつもブログで服を吊している街路樹の通りでうろうろ探した。洋服屋が幾つかあった。いかつい人がたむろしている軒先、ここじゃないといいな、と思い乍ら通り過ぎたら違う店だった。路面電車が往来する桃太郎大通り近く、もっといかつい四人組がチルッてゐた。逃げようと思ったら、テツオ君に見つかった。ここがFVKでした。話し始めたらいい人達だけどね。ぼくも店の前に腰掛けて話し始めた。いつもブログで服を吊している街路樹が目の前に生えてゐた。小学生や幼女や買い物の主婦が通り過ぎた。全然怖がられていないというか、むしろ邪魔だと思われているかんじ。まあ、邪魔だよね(笑)

テツオ君は、江田君の結婚式でバリ島へ旅行した時に、ホテルの部屋が同じで、意気投合したというか、仲善くなった。六、七、八年も前の話。其れから展示会で一度遇ったと思うが、京都に棲んでいる内に岡山のテツオ君の店へいかなくちゃ、と思ってゐたんだよ。土曜日の朝、目が覚めて、今日いこう、と思ったんだ。だけど時間が早過ぎたから、往きの車中でフェースブックのメッセージだけして置いて、南風といふ特急列車で瀬戸大橋を渡って、丸亀や多度津といふ土地で時間をつぶしてゐたんだよ。六月の末、夏休みの壁紙そのままの光景が、四国に横溢してゐたよ。土曜日の朝、目が覚めて、正午前には四国にいるって最高だよ。ぼくは、ぼくなりに調べて、土讃線へ乗り継いで、琴平で下車した。こんぴらさんの階段、ちゃんと登頂しました。こんぴら歌舞伎の金丸座も見学しました。帰りの石段はよいよい、金比羅宮の内にある、日本近代洋画の祖、高橋由一の美術館にも入りました。あの常設展は、別世界。高橋由一、暗い暮らしを描いたイメージがあるが、ぼくが感じたのは、むしろ芝居小屋風のケレンというか、喩へば、鱈と梅の花の油絵なんて、奇を衒った華やかさが有ると思つた。荒縄と梅の花の趣向なんて、歌舞伎らしいと思わない。だけど、いちばん感動したのは、むろん、豆腐と厚揚げだつて善かつたけれど、いちばん感動したのは、天袋に描かれた、月下の隅田川。コバルト・ブルーと、橙色の、静謐な絵。アレを目の当たりにして、もう一度だけ、江戸時代へ還りたいと思わない人なんて、ぼくはいないと思う。四国は、不思議で、感動的な土地なんだ。

平和町二の四の裏通りに、涼しい風が吹いてゐた。折畳み式の椅子や、灼けた舗道に腰を下ろし、大工の棟梁さんや、サグの若衆さんが方言で喋るのに、ぼくは耳を傾けてゐた。みんな白いシャツを着て居て、みんな積荷は軽かった。積荷の足りてゐない、チルった人ばかりが、ナチュラルに集まってゐるのだった。かれらは、おーけー、おーけー、と口々に言ふのだった。後に判明した事だが、此のフレーズは、日本語的な意味で、<大きい>といふ意味なのだった。(此のレイドバックした言い回しが、ぼくはいっぺんに気に入ってしまい、帰洛してからも、おーけー、おーけー、と口にし乍ら暮らして居る)又、平和町の表通りには、LOVEといふ、レイドバックした名前のコンビニエンス・ストアがあつた。LOVEとFVKの距離感は、ちょうど善いので、バック・トゥ・バックが始まり、みんな風呂上がりっぽい感覚になるのに、そう時間は掛からなかった(笑)。

サテ、此のFVK、上のいんすたぐらむからも判る通り、美しいスケシン屋です。東京にも無いレベルの目の行き届いたスケシン屋です。テツオ君、スケシンさんと仲善いからね。岡山の人は、善いね。FVKへ往けば、いつでも胸一杯に、スケシン成分を吸って吐けるからね。うん。ぼくがなにを買ったかって。Cave Empt。初CE。岡山で買ったった。

Cave Emptと、Neighborhoodの、黒いTシャツ。

書き上がった本の、ページをめくる様な気分で。テツオ君とも話したけど、スケシンさんの服は、服であり、本である。村上春樹の、新しい小説を読む様に着るもの。着てもいいし、着なくてもいいし、読んでもいい何か。夏休みの読書感想文の、課題図書。

ぼくは昔、スケシンさんと本を二冊作った事が有って、いろいろお世話になったけれど、ソーシャルネットワークの世界で働き始めてからは、お話する事も少なくなった。けれども、それで善いと思ってゐて、多分スケシンさんもそう思ってゐて、彼の言語は、ストーリーを図像に隠す手法は、何年も掛けて教えて貰ったから、ぼくは善く判っているんだ。ぼくから見ると、Cave Emptは、彼がずっと好んでいる記号を遣って、意図的に謎の部分が大きい組み立てをしてゐる、という感じかな。短編小説にしたくないのかな。村上春樹でいへば、ねじまき鳥クロニクルみたいにしたいんだと思う。通底してゐるのは、イタリアの女優(?)のイメージ然り、マッキントッシュ然り、ノスタルジイだと思うけれど、ダフトパンク的なインヒューマニズムの内で、繋がってゐるやうで、繋がってゐない図像も多いよね。中心が空虚というか。中心が空虚だから、周縁にカードをいろいろ並べてゐるシチュエーションというか。だから、ハイファッションぽく見える、というのは有るのかもしれない。恐らく、ドーナツの中心に居てほしいのはスケシンさん自身なんだけど、その部分は、T19とかのサイドプロジェクトに流出してゐるんだろうね。いつもの様に。始めてのシグニチャーブランドだからこそ、スケシンさん自身を完璧に隠して、残滓とノスタルジイを漂わせてゐる、というのは、ぼくは善く判るな。(どうだろう)

テツオ君は、「最近、SMっぽい女性のイメージが表れてゐて、面白いんだよ」と言ってゐた。展示会で遇っても、なにも訊かないんだって。それはそうだよね。スワッチとにらめっこして、読み解くのが愉しいんだものね。ぼくはもう一枚、T19の青いポロシャツを買った。サイズがSしか無かったから、新幹線ですぐに試着した。これはガチで恰好いいよ。山陽新幹線で、原宿を仕入れて戻って来たんだ。よいよい、FVKの去り際、テツオ君は、ピンクドラゴンの山崎さんが亡くなった事を教えて呉れた。RIP