タッキー

こんばんわっと。金曜日に東京オフィスでランチしながら北川さんと加藤さんと話した。加藤さんは宝塚歌劇にハマっているとのことだった。ぼくは行ったことがないけど、宝塚もいいですね。舞台芸能といっても古典芸能だけでは、ないからね。平野啓一郎が翻訳し多部未華子が主演した<サロメ>を、新国立劇場の小劇場で観たことがある。シェイクスピアは観たことがない。東急文化村は高尚かつ面白そうな、松たか子とかが出演している舞台をやっているが、未だ行ったことがない。劇場もいろいろあり、ぼくのホームは新橋演舞場だと勝手に思っているが、三越劇場もいいし、明治座もいい。明治座には行ったことがあって、同じビルにドワンゴが入っていて不思議な気分になった。ドワンゴは今、新しい歌舞伎座の上ですね。どうして劇場のあるビルにするんだろう?

いろいろな劇場へ行くのは愉しい。大阪の松竹座は未だ行ったことがないから、行ってみたい。南座は新橋演舞場の弟分みたいな感じだった。同じ文楽でも大阪の文楽劇場と東京の国立小劇場では全くちがう。大阪のほうが酔う。そういえば文楽公演、大夫の名前を叫ぶのが慣習化しているが、あれはどうだろう。ひいきの大夫なのは判るけれど、どうだろう。宝塚は大向こうの掛け声ないんだって。加藤さんが言ってた。拍手なんだって。北川さんも加藤さんも劇団四季へ行ってみたいと言っていた。ぼくは日生劇場をおすすめしておいた。日生劇場でジャニーズの公演を観たことがある、と話したら、二人の女子に思いの外、受けた。宝塚とユーザー層が重なる所もあるかもしれない、という話になり、二人とも行ってみたいと言ってくれた。ぼくが観たのは、タッキーこと滝沢秀明の舞台。

今週はちょっと手を抜いて、三年前に書いたタッキーの感想を再掲しようと思う。VOXに書いたもの。VOX、最高だったな。ぼくはベータテスターで、けっこう使っていて、がんばって触りすぎてシックスアパートのUSのスタッフとメッセージのやり取りまでしていたほどだ。VOXのクローズは本当に残念だった。編集画面が圧倒的で、画像を載せた時の回り込みとか凄かった。後で知ったことだけど、宮川達彦氏がほとんど一人で作っていたらしい。VOXのコード、もったいなくない。あれだれか復活させられないかしら。どなたかよろしくお願いします。ってことで、以下がアーカイブしておいた三年前の文章です。再読してもとくに違和感がないというか、変わってないというか。二〇一〇年には今の私は完成していたのだろう。現在と過去のブログの私を引き比べるのも愉しい。



滝沢歌舞伎

 初ジャニーズいってきた。なぜかチケットが手に入った。男一人で初ジャニーズ。滝沢歌舞伎。タッキーの歌舞伎風ミュージカル。タッキーはこういう作家性のある仕事というのか、やっていかなくてはいけないんだろう(推測)。日生劇場は、昔からある洋菓子屋のような佇まいでよかった。埃をかぶったメルヘンの世界。エスカレーターは埃をかぶった老舗のデパートのよう。はじまって思ったのは、マイクをつけていること。歌舞伎と大きくちがう。音響から声を聞くというだけで、一種の壁が生まれるというのか、タッキーが舞台にいるんだけど、メディアの中の世界のようなファンタジーがある。また、モダンな音楽や効果音があるし、薄い幕を下ろして映像を投影したり、巨大なスクリーンがあるなど、改めて歌舞伎の舞台芸術としての素朴さと洗練を感じた。

 女ばっかりだった。ただ、やーやー騒ぐというのではなく、タッキーの作家性を鑑賞しようという落ち着きが見られた(推測)。ジャニーズの二軍、三軍の稚児たちがわらわらといた。台詞や芝居はしっかりと入っていててきぱきと進行した。一日二回公演で一ヶ月とかやるので、鍛えられている。タッキーは平将門。陰陽師など、女子の好きな世界観になっていると思われる。最前列の目の前に腰掛けての長台詞など、タッキーを拝観したい人には、かなり近いタックスが味わえる。タッキーとのタックスが、何回か味わえる。よかったのは歌舞伎らしい楽屋落ちのやり取りで、役者が役者に戻ってジャニーズとしてやり取りする。河合郁人クンという少年が客席に入っての客いじりをしっかりとこなしていた(専門用語でなんというのか)。思ったのは、役者が役を演じていると、演じている役が役者に通じて台詞の意味が重なってくることがあるが、余り感じなかった。つまり、平将門として「日本を作る云々」とタッキーが云っても、タッキーの置かれている立場に重なってくるような向きはなかった。タッキーに疎いせいかもしれないが。

 自分は見ていて、タッキーに歌って欲しいと思った。タッキーに歌って踊って欲しい、と念じた。平将門が斬られて、尋常ではない紙吹雪がどっさりと落ちてきて幕が下りた。自分は拍手した。幕が上がると、タッキーは歌舞伎町のホストのようなタッキーシードに替わっており、マイクを手にしている。自分は拍手した。歌う。タッキーが歌ってくれる。稚児どもがわらわらとでてくる。何だか振り付けがおかしいと思ったら、手話のようだ。タッキー、優しい。歌詞を手話で振り付けてくれる、タッキーの優しさ。ここまでマイクで散々発声していたことも忘れて、日生劇場はタックスに酔った。バックスクリーンに、タッキーの幼少時代やオフショットが映しだされる。稚児の写真と名前も映しだされる。「滝沢演舞城、五年間続けて来られた皆さまの思いやりと優しさ、これをしっかりと共有しつつ、前を見すえて歩き続ける滝沢秀明、ありがとうございやした!」とタッキーが男らしく宣誓し、舞台上のジャニーズたちは人文字へと移行する。「LOVE」。なぜだろう、このフォーメーションに黒人が混ざっており、笑ってしまいそうになったんだけど、ご婦人たちの空気を察して、ぎりぎりで耐えました。(04/13/2010)