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子規ぽよ 14〈小娘〉

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小娘のからかささすやちる桜

こむすめのからかささすやちるさくら

小娘、という文字が目についた。もちろん、季語ではない。大辞泉によると、一四、五才の女子とのこと。現代の気分では二四、五才まで小娘なのかもしれない。その小娘が傘を差している。花びらが舞っている。そのままシルエットが浮かんでくる。そういえば土曜日、ラフォーレ原宿へ久しぶりに行ったら、小娘ばかりだった。

小娘ののぞきこんだる団扇かな

こむすめののぞきこんだるうちわかな

団扇の絵をしげしげと眺めている小娘。ロマンチックな挿し絵の世界。シルエットが浮かんでくる。どうやら小娘と影絵は相性がいいらしい。小娘といえば横顔であり、輪郭であり、影絵だ。というのも、そのくらいにしておかないと危ないからだ。小娘は影絵で愉しむのにちょうどいい。小娘をしげしげと眺めたらいけないんだ。

小娘が足の血に泣く菫かな

こむすめがあしのちになくすみれかな

だから、これはいいポエムだと思う。さすが正岡子規、といいたい。このラインでいい。このくらいのさじ加減がいい。すみれの花と小娘。野歩きをしていて、足のまめをつぶしたか、葉の先で切ったのか、足から血をながしている。いいかな、ここから少しでも小娘に近づくと、バルテュスの世界になる。そっちへは行かないよ。

のどかさや小娘一人一軒家

のどかさやこむすめひとりいっけんや

長閑(のどか)は春の季語。ゆったりとした春の日、がらんとした一軒家に、小娘が一人で留守番している。くつろいでいて、平和で、日向の縁側は暑いくらいで、日陰になると足が冷たい。この世に小娘しかいないように静かで、小娘を見ている人はだれもいない。小娘はだれの目も気にせず、小娘自身の小娘らしさと戯れている。


正岡子規の俳句検索/俳句、短歌ご愛好家の皆様へ|子規記念博物館

illust. Satoshi Murata