お湯を分けてください

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ごきげんよう
お湯がゆっくりと広がっているようです


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「手元にお湯がないので、阿部さんの家のお湯を分けてください」今、ぼくたちの間で、そんなメールが交わされています。昔の人の暮らしみたいになっています。うちのお湯でよかったらどうぞ、みたいな。分けあっていきましょう、お湯の余りを。こんな世の中ですもの。この用事を、ぼくらは「お湯分け」と呼んでいます。

二〇一六年というバトルフィールドに放りこまれ、戦っている人も多いと思います。じんわり行きたかったのに、地合いはそうなってないですね。地雷だらけです。誤って踏み抜けば、傷を負います。上手くメイクしたつもりで、意図しない伏線を呼びこんでいたりします。こういう環境で自分らしくいるためには、戦わなくては。

ぼくもすっかり混乱していて、前回の文章をいつ書いたのか、覚えていないんです。先週の金曜日に何かが暴発して、何が起きたのか分からないまま、とにかくお湯のことだけかんがえよう、と、息を詰めて夢中で書いたみたいです。そうしたら、思いの外、たくさんの人に届きました。温かい言葉が寄せられました。世界が二つあるみたいです。

「お湯を分けてください」

この言い方、やさしくて気に入ってます。みんな言葉遊びが好きだから、お湯をめぐって楽しいフレーズがたくさん生まれてるけど、これ、やさしいです。みんな、少しのお湯を余らせていたら、分けてください。そうっと静かに注いでください。戦っている人も。何と戦えばいいのか見えない人も。お湯のないところに、お湯を持ち運んでください。


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それでは、今週のシャウトアウトのコーナーです〜。

サニーボーイブックスの高橋和也さん、メールありがとうございました。ごめんなさい、忘れてたわけじゃないです。学芸大学は友人があり余っているので、ホームみたいなものなので、お店へお持ちしようと思ってました。けっこう、そんな感じでやってます。マイペースです。サニーボーイさん一周年記念の〈サニー〉というzine、とても好きです。

SUNNY BOY BOOKS


シブヤパブリッシングブックセラーズのゆきさん、お便りありがとうございました。あなた様が〈いか文庫〉だったんですね!というか、いか文庫ってなんですか?おしえて、おしえて。ゆきさんは、本の気分を「お湯につかりながらすうーっと遠くを眺める感覚にも近い、とても穏やかな気持ち」と表現してくれました。やったー。お湯に浸かって遠くを眺める、それいちばん気持ちいいやつですよ!お店では、旅の棚に置いてくださるそうです。俳句にも興味が湧いているんですね。いかとお湯のコラボにご期待ください!

IKA BUNKO Offcial Site - いか文庫 オフィシャルサイト


MINOU BOOKS AND CAFEの石井勇さん、はじめまして。お手紙ありがとうございました。福岡県うきは市の本屋さんが、先週のブログを偶然みつけてくれました。文面には「なにより、僕自身とても湯が好きです」と書いてくれました。お湯の好きな本屋さんが、日田から車で三〇分だという、彼の地にもいらっしゃいました。うれしいし、こんなことあるんだ、と驚いたけど、「あ、届いた」という感覚もありました。なんとなく知っていました。石井さんに会えると予期していました。耳納連山の麓、みんなで行きますね。それにしても、息を呑むようなホームページですね。きれい。

MINOU BOOKS AND CAFE | from the foot of "MINOU" mountain ranges





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こうしてブログを書いていると、とても安心します。たぶん、高橋さんも、ゆきさんも、石井さんも、ぼくにお湯を運んでくれたんです。分けてくれたんです。ここ何日も状況がよく分からなくて、いきなり発火した負のバイブレーションに追いまくられて、一丁あがりって感じで蹴り出されたような気分だったんですが、こちらの世界があってよかった。お湯のことをブログに書いておいてよかった。ぼくと対話してくれる人がいてよかった。みなさんもお気をつけて。そういうことは、身近で起こります。

ブログとリトルプレスで、自分の世界は作れます。だれにも追い出されない場所を、自身の手でこしらえることができます。「インターネットと小さい本屋さん」と言いかえてもいいかもしれない。この二つがあれば、戦えます。知らせを聞いた友人たちが助けてくれます。遠い町から味方がお手紙をくれます。じんわり行きたくても、戦わなくてはいけない時はあります。どうかくじけないで。権力者にぶっ叩かれても、だまったらだめです。他人の感情に自分を明け渡さないように。お湯が行き渡りますように。


今週ものんびり、お湯がお湯らしくうるおうのを、待っています。アマゾンで予約注文してくれた人、ありがとう。若干、ポチられすぎた感はありますが(笑)木曜日の朝のプロダクトオーダーみて笑っちゃいました。あきれた。おまえらにあきれた。予告もなく現れた「お湯」という本にたいして、そこまで自然に体が動く君たちに敬服した。ぺらぺらの本だけど、読むところもあるから。しばらく楽しめると思うよ。温かくなってきたら展示や句会もやりたいね。みんなでお湯しようよ。このままいくと、お湯、足さないとね。


ハロー風景

Photo / Takeshi Abe