三寒四温

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ごきげんよう
風邪引いて寝てます



サーモンアンドトラウトでのお食事会のおみやげに、三越本店にヒポポタマスのタオルを買いに行ったら、季節色のゴールドのウォッシュタオルが品切れていた。フロア係の人は「銀座店と新宿伊勢丹にも聞いてみますか」といい、ぼくはやんわりと断ろうと思ったんだけど、彼女はもう電話していた。伊勢丹の人とやりとりしてウォッシュタオルを押さえていた。包装はどうするのか、男に渡すのか女に渡すのか、リボンは何色なのか、と世話を焼いてくれるのだった。ぼくは好きにしてくれていい、といった。おまかせします、と困った顔でいった。三越と伊勢丹の友好の証として、ぼくがいるみたいだった。

こうして数年(十数年?)ぶりに新宿の伊勢丹へいくことになったんだけど、本館五階のリビングとアートのフロアへいったんだけど、あれは美しい百貨店ですねえ。地上の楽園ですね。昼下がりに時間とお金と審美眼のある種族にとっては。人間の介在する小売りの精神にとっては。「カジノ」という映画を思い出す。だれもがなにかに目を配っている。タオルの畳み方に目を配る人と、その人に目を配る主任と、またその人に目を配るマネージャーと・・。ぼくのクレジットカードの裏にも目は配られていて、サインが書いてないからいまここで書いてほしい、とボールペンを渡されたよ。いいじゃん、べつに。高度に洗練されたおもてなしは、監視とほとんど区別がつかない。とか、なんとか。

ゴッホのアイリスの、溶解した金の色のウォッシュタオルは二枚手に入ったけれど、サーモンアンドトラウトでのお食事会はキャンセルされた。三月一日の夜は寒かったから、それでよかったのかもしれない。偶然とほとんど区別のつかない、高度なおもてなしなのかもしれない。新宿御苑を歩いて横切り、千駄ヶ谷の駅から黄色い電車で帰ることにした。車両点検で発車標と時計が合っていなかった。ホームの風は温かかった。心は穏やかなのに、ころころと変化した。一つ隣の信濃町で、ぼくは日曜日の職人だった。もう一つ隣の四ツ谷で、しなびたキャベツやろうだった。市ヶ谷では・・内省的な何かだった。

ぼくでよければいくらでも監視してくれていいけど、一貫性がなさすぎて腹が立ってくるだろうな。にこにこしてると思ったら泣き出すし。出掛けたと思ったら帰って来るし。落ち着きがない。ただじっとしてればいい、という時にかぎって居ても立ってもいられないんだ。「今じゃなくてもいいでしょ」とみんなに言われた。いつもそちらが正しかった。分かっていても逆のことがしてみたい。差し戻されても。風邪がなかなか治らなくても。少しくらい抵抗してみたところで、自然の前では大したことない。三寒四温というフレーズの、英語みたいな足取りの前では意味をなさない。自動的に進んで行く。



今週のシャウトアウトのコーナーです〜。
(ワーワー)


ブラックバードブックスの吉川祥一郎さん、今回もお取り扱い、ありがとうございます。前回の本に素敵なコメントを寄せていただきました。大阪の地理に不案内なわたくしですから、ブラックバードさんの地元がどんな土地柄なのか、とんと見当がつかないんです。行ってみたいなあ、と考えつつ、それでいて、いつまでも想像していたいお店ナンバーワンというか・・。黒い鳥の巣に本があるんですよ。そういうイメージをします。それからホームページのお店の写真を眺めます。いいなあ、どのへんにハロー風景を置いてくれてるのかなあ、と空想します。それがたのしいです。

豊中市の緑地公園そばにある新刊書籍、リトルプレスと古本の販売・買取、植物と雑貨を取り扱う本屋 : blackbird books


瀬戸内海の島の暮らしを伝えるフリーペーパー「ブリッジ」の岡本礼教さん、ご感想ありがとうございました。ハロー風景は、周囲の友人にはほとんど送っていないんですが、なんとなく岡本さんには、お手元に置いてほしくて。江田島にいる編集者の先輩、という感じでしょうか。最初の本を作った時に知り合った、バイブレーションが同じなだけの間柄です。広島のリーダンディートさんで大原大次郎が展示をした時、オープニングでお会いしました。あの夜は愉しかった。乙女くんもいた。岡本さんは、「ハロー風景〈島〉はどうですか?」と提案してくれました。はーー。作りたい。




本屋さんからレビュー(紹介)がではじめています。

PEOPLE: 『ハロー風景』
ハロー風景 お湯 / 寸、阿部健 / ON READING オンラインショップ
ハロー風景 お湯 | 誠光社 通信販売

寸ってどういう人なのか、かれらが形作ってくれます。ぼくは無抵抗です。なすがままです。こんなにおもしろいことってないです。それによると〈編集人〉であり〈俳人〉であり・・〈編集人〉って古めかしい言葉ですね。はじめて言われたかもしれない。ピープルの植田さんが認めてくれるくらいだから、きっとそうなんでしょう。また寸は、〈うるおい〉と〈余白〉を愛するものであり、マイペースで活動を続けるものであり・・そんなこんな、がんばっているようです(笑)。本屋さんのオンラインストア、いろいろ買いたくなりますね。本を読んでいるオリジナルのこけしって、おもしろい。




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オイルヒーターの点いた小部屋で毛布に包まってじっとしているしかないんです。ハロー風景のツイッターアカウントを運用してくれているMちゃんとメールしてる時がいちばん甘く、落ち着く。「鎌倉でもいくー?」とか。「ふかわりょうもお湯好きなんですね〜」とか。ああしてほしい、こうしてほしい、と、十五才も下の女の子に我がまま言い放題です。してあげられることといったら、時々話を聞いて、図書館の近くでパエリアをご馳走することくらい。彼女の制作の感想を言ってあげることくらい。

君はお手紙を書くのが上手い。(なんかお地蔵さんが喋ってるみたいですね)君は女友達の話をしている時が一番愉しそうで、その性質から、あなたに向いている職業が一つ分かっているんだけど、それはしばらく言わないでおきます。君はだれかの制作物について、東京でアートが語られる時の言葉で、きちんと表現することができる。それはやっぱり、あなたがインターンとして働いていた、大原くんがちゃんと育成してくれた、てことなんだと思います、感謝しなくてはいけないよ(と、お地蔵さんが申しております)


ぼくのことは、おじさんだと思ってはいけない。お地蔵さんだと思ってください。時々、あたまの上からお湯をかけて洗ってやってください。布巾できれいにぬぐったら、小さいエプロンを付け直してね。口元は念入りに拭いてください。いい角度でワッチキャップを被せてくれたらうれしい。コットンリネンのチクチクしないやつね。色はオリーブか、ほかに似合いそうなのがあったら君にまかせます。相変わらず注文が多くてごめんなさい。注文の多いお地蔵さんなんて、かわいくないですよね、静かに笑っているのが一番・・


ハロー風景

Photo / Takeshi Abe